複合材料の変形と強度特性

 金属やプラスチック等、ほとんどの材料は、小さな力でも、例えば、数百万回の繰り返しをうけると、人間と同じように”疲れ”を起こします。これが「疲労破壊」という現象です。回転する機械、振動をうける部品などの設計には注意が必要です。
 私達の身の回りでは、ユニットバスやボート、車のバンパーに使われているFRPが、ガラス繊維とプラスチックの複合材の代表的なものです。複合材料は、特徴のある2つ以上の材料を合成し、より優れた材料を得るのが目的です。スポーツ用品を始め、車や航空機などに多用されています。この種の複合材料は、軽くて強く、腐食しにくいのが特徴です。しかし、母材と強化繊維との間の接着性が問題となっています。例えば、車のバンパーはFRP製が多いのですが、一度衝突などで荷重が加わると見た目には何ともなくとも内部は、ガラス繊維とプラスチックの剥離が生じ、強度はがた落ちになります。

 研究室では、複合材料の強度向上を目的として、引張試験機や疲労試験機で変形を与え、どのように変形するか、あるいは破壊するか、ガラス繊維と母材の剥離に注目し、光学顕微鏡や電子顕微鏡を使って観察して調べました。
 この研究で用いた試験片はすべて日本硝子繊維株式会社のご協力により、特別に製作していただいたものです。


複合材料の詳細は下記から

 微少量のガラス短繊維を含む 非結晶性高分子材料の変形と破壊
 複合材料の引張変形
 複合材料の疲労変形
 複合材料の引張変形に及ぼす温度の影響
 疲労変形に及ぼす温度の影響  
 複合材料の酸環境下における疲労変形挙動1 AS材の場合
 複合材料の酸環境下における疲労変形挙動2 PC材の場合
 複合材料の疲労き裂伝播