(1) |
一度,市販のミノーを購入しこれらをモデルにした方が分かりやすい。最初に,側面と上から見たルアーの輪郭をスケッチし、厚手の紙で型紙を作る(
図1)。正確に測定するには、手持ちの市販のルアーを使い、頭から10mmの位置の高さと幅をノギスなどで測定する。ノギスの無いときは物差しでも良い。このように次の20mmの位置も測定し、順次10ミリ間隔に測定し、グラフ用紙に、高さ、厚さをプロットして、なめらかな線で結ぶとおおよその側面図、平面図ができあがる。研磨するとき修正できるので、寸法に関しては余り神経質になることはない。
|
|
|
|
図1 ミノータイプルアーの型紙 |
図2 バルサー材の接着 |
|
|
|
(2) |
8mm程度のバルサー材の平板を用意する。型紙より多少大きめに長方形に2枚切り出す。
バルサー材は,柔らかく,カッターで2度3度ひくと簡単に切れる。バルサー材は日曜大工店で購入できる。
|
(3) |
両面テープを5mm角程度に切り,3カ所に貼り,板を貼り合わせる。余り大きく切ると剥がすとき苦労する(
図2)。
|
(4) |
側面の型紙を面積の広いバルサー材の面に置き,鉛筆で輪郭をバルサー板に書き込む。反対側の面も同様(図3)。カッターナイフでこの輪郭線に沿って削ってゆく。出来上がったら(図4),削った面に、上から見た平面図の型紙を置き,輪郭を反対側の面にも写す。この線に沿って丁寧に削ってゆく(図5)。
|
|
|
|
図3.型紙に沿って外形を板の両面に写す。
|
図4.線に沿って削ってゆく
|
|
(5) |
その後大まかにナイフで形状を整え、240番程度の紙ヤスリでさらに整え、さらに細かい紙ヤスリ(#400程度)で表面をきれいに仕上げる(図6)。 |
|
|
|
図5.4面型紙に沿って削った状態 |
図6.紙ヤスリできれいに仕上げた状態 |
|
|
|
(6) |
芯線の加工
0.8mm程度の真鍮の針金を図のように加工する。丸い部分は一寸釘に針金を巻き付けてペンチでつぶすとうまくゆく。最初は,オモリは,板おもりを用いて作る。加工が終わったら前後と中央部の箇所を半田付けする。 |
|
|
|
図6 芯線部分の詳細 |
図7 彫刻刀で加工 |
|
|
リングの作り方(ステンレスの場合を示しましたが真鍮の場合も同様、
ステンレスは普通の半田では着かないので真鍮線がよい。)
|
(7) |
仕上がったルアーを二つに割り,芯線部分がうまく収まるように彫刻刀で削ってゆく。
リップは図に示す寸法程度に3mm厚のアクリル板をアクリルカッターで加工し、加工後,サンドペーパーでなめらかに仕上げる。リップのための,差込口を糸鋸で切り込む。大きさ,角度,深さなどはモデルのまねをした方がよい。 |
|
|
|
図8 リップ |
図9 組み立て図 |
|
|
|
図10 ラトル用の穴の加工 |
ラトルを設ける場合は、図の位置に半球の穴を両面に加工。内面を油性ラッカーで2度 塗り。2B,3B程度のがん玉オモリが入ってルアーを振ればカタカタ音がでるのを確認する。鉛の大きさが大きいほど低音となる。
|
(8) |
加工が終わったら,芯線部を入れ、セロハンテープなどで胴体を固定し、ハリとリップも付けて、風呂でバランスをみる。板おもりの量を調整する。シンキングにするかフローティングにするかこのとき決める。次の製作に備えて、オモリを取り付けた状態で芯線部の重量を測定しておく。
|
(9) |
オモリ調節が終了したら,ゼリー状の瞬間接着剤で隙間を埋めるようにして,胴体を接着する。もし,隙間ができるようであれば,木工用のウッドパテを楊枝など使って隙間に埋め込むように詰める。多少はみ出ても良い。パテや接着剤が乾燥したら,表面をサンドペーパーで磨き,なめらかにする。その後、油性のクリヤーラッカーを塗り、充分乾燥したら細かいペーパーで仕上げ、これをもう一度繰り返す。表面は強度を増し、固くなる。
|
(10) |
リップを持って,胴体を白の水性ラッカーで二度、下塗りする。イワシ,サバの小魚に似せるため、背中は黒か、濃いグリーン,腹の部分は光り物,タバコの箱に入っている銀紙等を張る。境界は,点状に塗料を塗ってぼかす。すべて二度塗りである。この部分は,個人の工夫次第である。小学生や幼児が遊ぶ遊具に結構使えるものがあり,銀粉や金粉(ラメ)も有り,これを振りかけても良い。最近はルアー用のカラーシートが何種類も市販されている。
|
(11) |
目玉は,事務用のパンチで銀紙などに穴をあけ,丸く出てきた部分を使用する。黒い部分は,楊枝を黒のラッカーに入れ,たれ気味にして,銀紙の上に落とす。ラッカーの粘度は硬めの方がよい。こうすることによって目玉が飛び出たように立体感が出て,生きているように見える。最近は市販されているものがあります。
図のように、楊子に付けるラッカーの量は試行錯誤して決めるしかありません。少しずつ、何回か円形の中心に楊子の先端を付けてもラッカーは乗ります。
|
|
|
|
|
(12) |
最後の仕上げは,水性のクリアーラッカーを3度塗りする。うまくなったら高級な二液性の
ポリウレタン塗料などを使う。前のハリの根本に板錘を巻いて、フローティングをシンキングにしても余りルアーの泳ぎには影響しないようだ。
|
|
|
|
図11 背中を黒,腹の部分は銀紙,境界はブルーでぼかしている。
全長90mm,シンキングタイプ,ラトル入り、ラパラをモデルに |
|
スズキが自作のルアーにヒットしたので自分で製作しても釣果は充分期待できる。 |
|
|
|
9cm シンキング |
11cm シンキング |
11cm フローティング、ラトル入り
|
● |
リップの加工
リップは,アクリル平板でも作用するが、市販のルアーのリップのように、より泳ぎの効果を高めたいときは、電動ドリルに付けるフレッキシブルシャフト、回転ヤスリ,軸付砥石等をDIY店などで手に入れ、フレッキシブルシャフトに回転ヤスリ,軸付砥石を付けて、アクリル板を左手でペンチで挟むか小型バイスに取り付けて、右手でペンを持つようにフレッキシブルシャフトを持ち、削って凹凸を付ける。その後、凹凸の粗さが気になればサンドペーパーで磨く。
回転ヤスリ,軸付砥石(サンフレックス株式会社)、DIY店でも購入可能です。
リップの大きさ、面積、取り付け角度など試行錯誤で試すと面白そうですが、市販品をまねして作りました。それでも結構良く泳ぎます。
|
|
|
|
軸付砥石 |
回転ヤスリ |
|
|
写真のルアーは約30年前にスズキ釣り用に作ったもので、当時はカラーシートが市販されて無く、タバコの包み紙や身の回りの光り物を使っています。最初は寸法など物まねでよいと思いますが慣れましたらオリジナルなものを作られた方がよいと思います。
|
|
11cmモデルの型紙の例
|
|
|