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ノギスの使い方
 
 旋盤やフライス盤の加工現場では、ノギスは最も基本的な測定工具です。ノギスは、150mm,300mmなどのサイズのものがあります。ダイヤル付きノギスやデジタルノギス等もあります。図1に150mm間で測定可能なノギスと各部の名称を示しました。

図1
■ノギスによる測定
 このノギスは外径を測定するジョウの部分、内径用のクチバシ、段差や穴の深さを測定するデプスバー、主尺と副尺の段差を利用した段差幅の測定の4種の測定が可能です。
1. 内側測定 クチバシを使って穴の内径などを測定(図2)
2. 外側測定 ジョウを使い厚さや外径を測定(図2)
3. 深さ測定 デプスバーを使い穴の深さなどを測定(図3)
4. 段差測定 主尺と副尺を使い段差の幅を測定(図4)
図2 図3
図4
■目盛りの読み方
@副尺の0点が指す主尺の値を読む。図5の場合12。A次に、副尺と主尺の目盛りが一致する副尺の値を読む。図では5.5の値。この値が0.1mmの位の値に相当する。測定値は、12+0.55 = 12.55mmとなる。 
 
図5 図6
 
■副尺について
 ノギスの主尺は、1mm間隔の目盛りが付いている。副尺(バーニヤ)の長さは19mmで20目盛りが記されている(図6)。図5で説明したように、主尺と一致する副尺の目盛りの読みが1mm以下の値となる。
 何故このようになるのかを説明します。図7のように1mmの最小目盛り、長さ10mmの主尺を考えます。副尺は長さ9mmで10等分の目盛りを有します。副尺1目盛りは、0.9mmの長さになります。主尺と副尺の0点を合わせると、主尺の1目盛目と副尺の1目盛目との間には、0.1mmずつのずれが生じ、副尺の値が増えるとずれ量は
   ずれ量mm=副尺の目盛り×0.1mm
となります。そして、副尺10目盛りでずれ量が1mmとなり、主尺目盛り9mmと副尺10目盛りが一致します。
 

図7
 次に、図8のように、副尺の目盛り0を0.4mmタだけ右にずらす位置にします。副尺の目盛り間隔は0.9mmであるので主尺と副尺の1の目盛りは0.3mm、2の目盛りは0.2mm、3の目盛りは0.1mmのずれを生じ、4の目盛りは0mmで一致します。5の目盛りは、0.1mm,6の目盛りは0.2mmとずれは増加してゆきます。更に詳細を図9に示します。

図8
 けっきょく、副尺の0点が示す値、主尺の読みの値は、副尺の目盛りと主尺の目盛りが一致する4、すなわち、0.4mmと言うことになります。他の値についても同様です。
 一般のノギスは、副尺の長さは19mm、20目盛りを有しますので、1/20mm,0.05mmまで読むことができます。0.05の分解能になります。

図9
■測定時の注意事項
スケールの正面に目をもってこないと視差による誤差が出ます
測定したい平行する面に垂直にノギスのジョウやクチバシをあてます。円筒の直径を計る場合は円筒の軸に対してノギスが直角になるようにジョウを当てます。このときに直角からずれていれば誤差が出る。
 ジョウで丸棒の直径を測定する場合、下の図のように、ジョウの中央部は測定物と接する面積が広く(A)、ジョウの先端部は測定物と接する面積が狭いので、@のように、斜めに当たるミスをしやすくなり、測定の際注意が必要です。
             
                         図10
ノギスの目盛りのある面に垂直な位置に自分の目がくるようにします。これは主尺と副尺の目盛りの面の高さが異なるからです。
ノギスの分解能は0.05mmですが、ノギスを使った測定では上述のような誤差が付きまとうので、プラスマイナス0.2mm以内の精度程度しか保証されません。また、内径の測定の場合、クチバシの曲率半径が測定物の曲率半径より大きい時、図10のような場合に誤差が入ることも考えられます。

 
図11


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