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数学と力学の基礎知識  力学の基礎

このページは、「はじめての材料力学」(小山信次、鈴木幸三著、森北出版)を学ぶための基礎的事項について解説したものです

作用線が一致しない平行力の合成平行力の合成
 図7のように2つ以上の平行な力が作用する場合の合力を求める。1点に作用する多くの力と同様に、力の効果が同じであればよい。平行力の場合は、作用点が異なるから、回転する作用が生ずるので,モーメントも考慮する必要がある。O点に関するモーメントを考えるとき、運動の効果が等しい(この場合は、平行移動させる効果、回転させる効果)

          P1 +P2 +P3 = R                            (7)

         (図7(a)のモーメントの和M)=(図7(b)のモーメント、−Rx )        (8)

となる必要がある。従って,M=−Rx となる。
(a) (b) Rは,P1 ,P2 ,P3 が同時に作用したのと同じ力の効果
図7 P1 ,P2 ,P3の平行力の合成,合力の大きさRと作用する位置xo
 合力Rと作用点の位置xoを上式の値にとれば,(a)の場合と全く同じ回転の効果と平行移動の効果となる。多くの力を取り扱うよりも,1つの力で代表させることができれば計算も単純化され,解析も簡単になるので,必要に応じて,合成したり,分解したりする。
        (9)
【例題4】平行力の合成の応用  ---重心の位置を求める場合
 水平に置かれた棒をn個の部分に分割する。 分割された物体の各部分に作用し、分布している重力は、方向が同じ(鉛直下向き)で、平行である。この力を合成し、1つの合力にまとめたとき、この合力の作用線の位置が重心である。
 合力の大きさWは、前述の結果から,物体の質量Mとおくと
             (10)
Aに関するモーメントT’は、図8(a)と図8(c)の場合に等しくなることが必要(合力の説明の項参照)があるのでモーメントを求める。
             (11)
(a) n個の部分に分割 (b) 分割した部分に重力が作用

(c) 重力を合成
図8 合力の作用する位置が重心G
簡単にするために,n等分の時
     (12)
極限値を求めると重力によるモーメントの総和T’は
              (13)
となる。

 同じ重力によるモーメントの総和T’を求めるのに,積分法を利用して求めてみる。
 微小部分dxに作用する重力は,単位長さ当たり(M/l)gであるから、dxの部分には,(M/l)gdxの重力が作用する。A点からの距離x、この部分のモーメントΔTは、

              ΔT = (M/l)gdx・x (区分積分法のA
                    (14)
上式を0からlまで積分を行う(区分積分法,Aの和をとり、極限値を計算に相当)と

図9
           (15)
なる。一方、W(=Mg)によるモーメントMAは、作用点l0 と置き

                  MA = W・l0           (16)

 力を合成しない時のモーメントの大きさと合成した力によるモーメントの大きさは等しい,T=MAから
        (17)
となる。作用点l0 が重心の位置で、断面が一様な棒の場合は中点である。
 

          

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