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アワビのスプーンの製作
 
陸奥湾の真鯛をターゲットにしています

   *アワビはディジタルカメラの自動焦点ではピントあわず、ボケています。
8g〜25g程度の重さ

 
 アワビの貝殻の電子顕微鏡写真 

  内面表面の写真です。貝が成長過程にある領域の写真。ピラミッド構造と言います。 板状の結晶が積み重なった状態です。この構造と板状結晶が反射して独特の輝きがします。表面は汚れを取るくらいでサンドペーパーで研磨しない方が無難です。良くアワビの薄片を張ったスプーンを見かけますが、この構造の材料を薄片に加工できるのかどうか疑問です。何か特別の技術があると思います。
 その後、アワビシートについて調べましたら、螺鈿細工と言う伝統的な技法があり、手間ヒマ掛けて研磨して薄くする職人の方がおられるようです。(有限会社中尾シェルHP→http://abcde.daa.jp/raden/)しかし、時間を掛けて製作したシールが釣具店であの程度の価格で販売されていることと、どのようにして30cm程度のシールの大きさに出来るのかまだ疑問です。
詳細はこちらで 1μm=0.001mm
◇用意する材料、工具等
銅板 0.3〜0.7 mm程度の厚さ、DIY店で購入可能、スプーンの強度を上げるために使用
金切りばさみ
0.4mm程度の厚めの板錘
二液性の透明な接着剤 化学反応を起こすので空気に触れない部分も乾きやすい。仕上げの穴埋め用に使う。例えば,セメダインハイスーパー30,クリヤー。 一液性は貝殻と銅板の接着に使う。空気に触れて硬化するので完全に接着するまで時間がかかる。例えば,ボンドSU,クリヤー、コニシ(株)。一液性のボンドは使っているうち硬めになり、仕上がり状態が悪くなる。この点二液性のものは変化が少ない。
金切り鋸 鋸刃の幅が小さいもの、金属用糸鋸が最適 いずれもインターネットで購入可能。工具等を扱っている店があれば注文可能。
(株)エンジニア 厚さ0.37mm,幅0.9mm,歯数47/in,長さ130mm 貝殻用(TN-15)。
"鋸刃 TN-15"で検索すると、通販店に
小型のベンチバイス テーブルに取り付け、貝殻をバイスで挟んで、糸鋸などで切断 \1500円ぐらい
1.5,2.0, 3.0mm径のドリル刃とドリル
ポリウレタン樹脂のコーティング剤あるいは水性透明ニス DIY, 釣具店で入手可能。水性のつやだしニス(和信ペイント(株))は安価でかなり良い仕上がりになります。
ベニヤ板,ガムテープ,楊枝,クランプや洗濯ばさみなどの固定治具
型紙用厚紙  例えば、学校教育工作用紙(いわゆるボール紙、グラフ用紙の厚紙のようになっている),DIY店
◇製作方法
(1) 大きめのアワビを手に入れる。凹凸が少なく、大きいほどスプーンの曲面と合わせやすい。結構、真珠色を失っているものも多いので、模様が良いもの,外面、内面がきれいなものを選ぶ。あらかじめ内面を歯ブラシと歯磨き粉を使って研磨する。内面表面に付いているタンパク質、肉片はお湯につけておくと簡単にとれるようになります。表面が白く曇ったようになっている時は、240番程度の耐水ペーパーで濡らしたまま、親指でぺーバーを軽くこすると白い部分がとれます。最後に必ず透明クリアーでこの磨いた面を塗装します。外面は結構汚れているので,しばらくお湯に漬けてから,たわしや釘などを使ってフジツボなどの付着物や汚れを落とす。ニッパーなどでフジツボや付着物をつぶしても良い。当地では、料亭や料理屋さんでアワビが出てきたらお願いすればもらえる。中身の入ったアワビをスーパーで購入すると大きいもので3,500円程度はする。アコヤガイでは作りますが、他の、ハマグリ、ホッキ貝などの貝殻でもスプーンの製作は可能と思います。
 
(2) 市販のスプーンをモデルにして厚紙で型紙を作る。最初は全長30〜40mm程度の小さいスプーンが作りやすい。大きいほどアワビの曲面と合わせるとき苦労する。板厚0.3〜0.7 mm程度の銅板をDIY店で購入し、油性のサインペンで型紙の輪郭を写す。線に沿って金切りバサミで切り出す。この時、ハサミは移動させないで、銅板を回転させるときれいに切れます。ハサミを小刻みに開閉させると切断面が荒れますので、刃の長さ一杯に使います。銅板は貝殻の強度を補うために使います。

 
切断した銅板、直径3mm程度の穴
 
直径4mm程度のボルトで代用
 
(3) 切断したところをヤスリや粗めのサンドペーパー(150or240番程度)で磨く。指を切らないように注意する。前後の部分に2〜3mm程度の直径の穴をドリルであける。電動ドリルよりも手回しのドリルの方が力を加減できるので最初は手回しのドリルがよい。孔にはバリが出るので、6mm程度のドリル刃を穴に当て、手回しで回すとバリが取れる。ヤスリを使っても良い。
 
(4) ベニヤ板を用意する。4mm厚程度のシナ合板が良い。ベニヤ板の上に銅板を置き,図のように4mm程度のボルトで,外縁に沿って、ボルトの細い部分を銅板に当て金槌でたたいてゆく。たたいた箇所は変形し、曲面ができる。外周部が終了したら内部も同様に曲がり具合を見ながらたたいてゆく。たたいた箇所が、銅製の鍋などのようなきれいな模様になるのでデザインも考えてたたく箇所を決める。硬い板の上で作業すると銅板が変形しにくいので,比較的柔らかいベニヤ板を使い,一度使った箇所は使わない。私は4mm厚のシナ合板を使っている。コンクリート台の上にベニヤ板を載せると銅板は変形しやすい。
最初は外周に沿って 内側もたたく
(5) ルアーの重量を出すために、0.4mm厚の板錘を銅板に瞬間接着剤で貼り付ける。料理用の1gの目盛りを持つ重量計などで測定する。貝殻は2g程度、銅板の重量を加えて出来上がりの重さの目安とする。接着剤、コーティング剤の重量が加わるのでおおよその目安で、何回か作っているうちにこれらの重量分も予測できるので正確に作れるようになる。型からはみ出ないように鉛板を接着剤で貼り付ける。重りの重量が重いほど,厚みが増し,貝殻とスプーンの銅板との隙間が出来やすく,貝殻との合わせるのも難しくなるので最初は重りをつけないか,板錘を2つ折りにして2枚程度から始める。2mm厚の鉛板を金槌でたたいて薄くしたものを張っても良い。
 
(6) 銅板の凸面側にも汚れ防止のため布状のガムテープを貼る。接着剤など着いて結構汚れる。アワビの内面(真珠色部分)に汚れを防ぐために,ガムテープを貼っても良い。銅板のスプーンの曲面に合いそうな貝殻の箇所を選んで、この箇所にスプーンの型をサインペンなどで取る。型より大きめにあらかじめ貝殻を切り出しても良い。
 
 銅板のスプーンの曲面に合いそうな箇所を丁寧に選ぶ。多少隙間があっても接着剤で埋めることができる。一液性の透明な接着剤を銅板側と貝殻に多めに塗る。あらかじめ描いておいた型に沿って銅板を貝殻の上に載せる。接着剤がはみ出るくらいがよい。隙間ができたら接着後、接着剤で補強する。クランプや不用な洗濯ばさみなどで数カ所挟んで固定する。完全に乾燥するまで1日以上おく。接着剤を付ける前に、どの辺をクランプで挟んだら密着するかなど、あらかじめ見当を付けておく。
 
(7) 銅板からはみ出したアワビを鋸刃の幅が細めの金切りのこや金属用糸鋸で丁寧に切ってゆく。余り乱暴にするとアワビが欠けてしまうので少しづつ切ってゆく。一番根気がいる作業です。小型のバイスに貝殻を固定し、銅板に沿って丁寧に切り出す。切り出す前に、下の図のように切り込みを入れておくと切り出しやすい。前後の穴をあけるのは貝殻が欠けやすく、非常に難しい。こまめにバイスに挟む貝の方向を変えて切ってゆく。
 細いドリルからはじめて徐々に目的のドリル径にしてゆく。その後,ガムテープを剥がし、隙間があったら一液性の透明な接着剤で補修する。このとき楊枝を使うと穴埋めには最適である。銅板面に付いた接着剤はカッターなどで丁寧に削り落とす。穴埋めは(8)と同時に行っても良い。
 ヤスリ,サンドペーパーで研磨し切り口をなめらかにする。サンドペーパーによる研磨は,粗研磨150,中研磨240,仕上げ研磨400番など,3種類の荒さのものを準備した方がよい。日曜大工店で手に入り,ペーパーの裏に番数が記載されている。真珠層の研磨は、歯磨き粉を歯ブラシや布につけて行う。
 
(8) 銅板側に、ホログラムシール、金、銀、夜光テープなどを使用目的に応じて貼る。コーティングの際、コーティング剤が乾燥するとき引っ張られて隙間ができ、剥がれれやすいので、テープなどの縁を接着剤で銅板に固定する。しわが出来て隙間がある場合はこの部分にカッターで切り込みを入れ,重ねて張る。凸面に貼ることになるのでどうしてもしわができる。
 
(9) 水性クリアーラッカーで3度塗りの仕上げをする。ポリウレタンの場合はスプーンを1日1回どぶ漬けし、これを3〜4回繰り返すと厚いコーティング膜ができる。ポリウレタンは釣具店で購入可能。スプーンを乾燥させるとき、文書を留めるクリップを180°内側を回転させて曲げるとS字型になるので、一方をスプーンの孔に通し、他方を糸などに掛けて使うと便利。しばらく置くと下の方に塗料が玉になるので、乾く前にこれを紙でぬぐい取る。
 
 
・注意事項等
 接着剤などから有害な化学物質が発生するのでくれぐれも換気には注意すること。傷の無い内表面を選んだり,スプーンの曲面に合う貝殻を選ぶと手に入れた貝殻の半数ほどしか使える貝殻はない。
切断方向、切断前に切り込みを入れる クリップの変形
◇中通しのスプーンの製作
 真鯛釣り講師の方が考案したルアーは中通しにもできるものであり,真鯛の食い込みが良く,確実にヒットできるそうです。一度使ってみたが確かに食い込みが良く,50cm超のカレイが二本バリを7cm程飲み込んでしまった経験がある。また、ルアーの重量が直接かからないため、弱い真鯛の当たりもとりやすくなります。
 

Vertical & Horizon CURL 19gの外形寸法の一例
 製作方法はアワビのスプーンと同じであるが,糸を通す部分を工夫する必要がある。図の市販の真鯛釣り講師の方*1)が考案したVertical & Horizon CURLの製品の場合は直径3mm程度の孔をあけている。もっと抵抗を少なくするため、下図のようにステンレスの針金で輪を作って固定する。ステンレスの針金は0.5mm程度の直径のものを使用し,図のように釘に針金を当て,なるべくペンチを釘に近づけて変形させる。また、スプーンの大きさ、重量も何種類か変えたものを製作した。

中通しのルアー ステンレスリングの作り方 ステンレスリング内径3mm
 
スプーンに開ける穴は1.5mm〜2.0mm程度。瞬間接着剤でステンレスリングを固定の後,余分な部分はニッパーなどで切断する。銅板から出ている部分はサンドペーパーで磨いて平らにする。両面から二液性の接着剤を穴と針金の隙間に入れ固定する。
@切り出した銅板 A加工後 表 B裏面に鉛板貼り付け C銅板を修正しながら曲面に合わす
 中通しスプーン 全長50mm 大きいアワビを使うと全長70mm、幅45mm程度のスプーンが可能
Bの写真は光の関係で凸面のように見えるが凹面に鉛板を張っている
鉛板は2mm厚のものをコンクリートの上で金槌でたたいて薄くしている。
【製作手順のまとめ】
@ 銅板に型をサインペンで転写する.
A 金切りばさみで型に沿ってカット.
B 240番程度のサンドペーパーでカットした箇所を磨き,形を整える.
C あらかじめ穴を開けるところにマークし,ポンチでマークする.
D 2〜3mm程度のドリルで穴を開ける.中通しの場合は小さめに。
E 6mm径程度のドリルを手で回してバリ取り.
F 銅板を4mm程度のボルトで合板の上でたたき,スプーン状に成型.
  合板はコンクリート台などの変形しない台の上に載せた方がよい。
G 銅板の凹面に板錘を接着剤で張り,重量調整する.
H 銅板に汚れ防止のため布製のガムテープを貼り,余分なテープをカット.
I 貝殻の面とスプーンの面が合う箇所を探し,スプーンの外形をサインペンで写す.
J 貝殻の面とスプーンの面に多めに接着剤を塗り接着。はみ出す程度に接着剤をつける.
   洗濯バサミやクランプなどで固定。
K 1〜2日程度おいて接着したら糸鋸などでスプーンに沿ってカットする.サンドペーパーで研磨する。
L 隙間の部分に楊枝を使って接着剤で埋め,成型する.
M ガムテープを剥がし,カッターで銅板に着いた接着剤をはぎ取る.
N ドリルで貝殻に穴を開ける.慎重に開けないと貝が割れてしまう。
O 銅板凸面にホログラムなどのカラー紙を貼る.
P 接着剤をカラー紙の縁に沿って塗り、剥がれないようにする.
Q ポリウレタン塗料などで数回塗布する.
 
 
*今まで、10g, 15g, 18g, 21g, 30g等のアワビのスプーンを製作しました。これ以上重いスプーンは2mm厚の鉛板で製作しています。また、なつめ形錘を変形させてシンカータイプのものも作っています。また、アワビの代わりに真珠貝を使ったものも作っています。アワビよりも凹凸が少なく簡単です。他の貝でも製作可能と思います。
 
■金属の加工と研磨
 硬いものを紙ヤスリで研磨するとき、木製の角材を準備し、紙ヤスリを図のように巻き付け、指で押さえるか、ホチッキスで固定するかして研磨する。研磨面積に応じて縦、横を変える。いろいろな寸法の長さ30mm程度の角材を用意しておくと便利。
 金属に穴を開けたとき、必ずバリが出る。このバリを取らないと危険ですので取ることになりますが、銅などの比較的柔らかい金属の場合は、穴の径より大きいドリルの刃で手で回して回転させるととれる。硬い金属の場合は電気ドリルに刃を固定して低速で余り力を加えないで回転させる。専用のバリ取り工具も販売されています。
       
 
 ■ルアーの乾燥
 段ボール箱を準備し、クリーニング店でくれる針金のハンガーを適当にペンチでカットし、段ボールの両側の側板に刺す。塗料にどぶ漬けした場合などは、スプーンを下げて乾燥させる時、下部に、塗料がたまり、だまができ、紙などでこれを拭き取るので、この作業ができる程度の間隔で、針金を何本か刺す。この針金にクリップを掛ける。段ボールの底部には新聞紙を敷き、塗料が結構垂れるので、汚れたら交換する。
 

 
■アワビの貝殻の表面の研磨
 
 貝殻の構造上余り研磨しない方が自然の輝きがあって好ましいので、なるべく表面がきれいな貝殻を選びます。 外面表面のフジツボなどはニッパーなどで潰したり、−のドライバー等で掻き落とします。
 まず、数分間お湯につけて置くと、表面の肉片など柔らかくなるので指の爪や割り箸などで掻き落とす。更に、歯ブラシなどで歯磨き粉(粉状がよい)等で磨きます。
 表面に付いている雲がかかったような白い膜のようなところは、濡らしてから、耐水サンドペーパーで指を当てて、軽くこすっているとだんだん落ちてきます。窪んだところは結構時間が掛かります。なるべく粒度が細かいものがベターですが、時間が掛かりますので240番程度でも良いと思います。乾かしてから、クリヤーラッカーを二度塗りしたほうが輝くようです。これは加工後仕上げの段階でも良いです。
 
 1) 矢倉丈志, 釣り東北編集部
  DVD「むつ湾デカマダイの求道者達・湾内編」「同・湾内編パート2」、このDVDでは真鯛釣りの基礎、仕掛けの作り方、釣り方などが詳しく解説されている。

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