ホタテ貝殻の有効利用 > ホタテ貝殻の構造

 一般に、自然界にある生体各部の構造は、長い年月の間に進化の過程を経て得られた合理的なものです。貝殻の場合も同様で、貝殻は、軟体動物の外骨格で、その外形は種々ありますが、その成分は炭酸カルシュウムの結晶と少量の連続した有機質で構成されています。炭酸カルシュウムの結晶は、斜方晶系のアラレ石(巻き貝)の場合と六方晶系の方解石(二枚貝)の場合があり、蛋白質を主体とする有機質の含有率は、各構成部によって異なりますが、真珠層の場合、約5%程度であり、交差板構造では、0.8〜0.001%程度です。
 引張試験で貝殻を破断させ、断面を電子顕微鏡で観察  約200 μmの厚さの葉状構造の内面層@、交差板構造の中間層A、約50μmの外面層B
 葉状構造の内面層@の断面
貝柱が付いている内面層の断面写真
 葉状構造の内面層@の拡大写真 方解石の柱状結晶。約3μmの方解石の柱状の結晶が表面に対してほぼ垂直に並んでいる。生きているときは、結晶間にはタンパク質が連続的に入っている。乾燥状態では、隙間ができ、有害物質等が吸着される
 交差板構造の中間層A,方解石の細長い結晶の束が交互に並んでいる。表面に対してある一定の角度をなし、合板のような構造で、この層が強度を担っている。薄くても強い構造である。  上半分は内面表面であり、葉状構造の先端部である。下半分は、断面である。柱状の結晶は方解石である。
 殻口領域、成長が進んでいる領域の内面の表面成長領域は、貝殻先端の5〜7mm幅の輝きのない領域 貝柱付近の内面の表面結晶の先端が多少丸みがある。


アワビの構造観察

 巻き貝に属するアワビの場合、成長領域表面は、殻口に沿って存在し、最大幅は約 7mmであった。肉眼では、アワビの特徴的な内面色、真珠色が多少濁って見える箇所である。二枚貝と巻き貝の構造が異なることがわかる。
アワビの断面写真  成長領域、アラレ石の板状結晶がピラミッド状に発達している。この部分は成長過程にある結晶である。
ピラミッド構造の拡大写真  表面に対してほぼ垂直方向に、約0.5μmの厚さのアラレ石の板状結晶が規則正しく積み重なり、隣接する結晶とかみ合い構造上の強度を得ている
アワビの断面写真 アワビの断面拡大写真

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