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学習方法マニアル
 
 この資料は八戸工業大学時代、学科の新入生のガイダンスで担任からの資料として配付したものです。かなり前の資料です。その後、気がついた点を加筆もしています。
 1年次から就活をする必要があることも述べている、就活資料「企業が求める人材像」もご覧下さい。
 
  学生諸君は大学で学んで、将来、それぞれの目標を達成したいと考えていると思われます。入学した時点での自身の総合的なレベルを卒業時までにどれくらい上げられるかが重要です。総合的なレベルや「大学は何をするところか」等のそのものの意味はここでは、述べませんが、学問を効率的に会得することに関して、基本的な姿勢や方法等を述べたいと思います。
 
講義について
 大学では、カリキュラムに示されている科目を履修して、各科目においては、理解度があるレベルに達したことを教員が認めたとき単位を認定します。単位は、成績AでもCでも認定されるわけですから、合格したとは言え、自ずと理解した程度に差が出てきます。合格することが目標ではなく、その科目の学習内容を理解し、将来、仕事や研究をする際、役立てることが目標です。
 
(1).携帯必須用具等
  ●教科書あるいはテキスト
  ●ノート ノートは各教科毎に準備する
  ●筆記用具 鉛筆あるいはシャープペンシル、消しゴム、線引き、蛍光ペン等
  ○科目によっては、関数電卓(演習、実験、実習科目)、雲形定規(実験)、グラフ用紙(実験)、英和辞書(語学、ゼミ)
 
(2).講義前後に行うこと。
予習をする
 前日に、次の日の講義の確認と必要な筆記用具等の準備をするのは勿論であるが、教科書やノートで先回の講義で何を勉強したか、次回は何を勉強するか目を通す習慣をつける。一度聞いたことのある語句や言葉は初めて聴くよりも理解しやすいものです。
 
単位計算は、45時間(15回×3時間)で1単位、講義2単位は、15回×6時間、90分講義を2時間分と換算すると、残りの4時間は予習と復習に当てるものとして計算。予習、復習をしているとして単位が認定されていた。
  以前、学生要覧にはこのように記載されていました。
復習をする
 予習と同じように復習を行う習慣をつける。今日何を勉強したか、教科書やノートに目を通す。そんなに時間を掛けなくとも目を通して確認するだけでも良いかと思います。睡眠前に行うと、睡眠中に脳が働いてくれるとのことです。
 
掲示板は必ず目を通す
  教員が学生に連絡する方法としては、講義中に連絡するか掲示板しかありません。人に聞くのではなく、 1日1回は自分の目で確認して自分のことは自分で管理する習慣を身につける。大人への第一歩です。
 
 
(3).講義や実験、演習、実習では
    
講義開始5分前には教室に入る。
  多くの先生は、講義開始直後に先回の講義で勉強した事項をまとめて話すのが普通であるので、遅刻するとこの大事な部分を聞き逃すことになるからである。
 
板書した内容をノートに書く習慣
 先生が話す多くの内容は教科書に記載されているが、板書は、学生に説明するための図や式を書く場合と内容の補足説明のために書く場合とがある。ある程度、予習をしていれば、説明のための板書か補足説明のための板書か判断でき、板書をすべて書くことに越したことはないが、最低限、補足説明のための板書はノートに書く。書くことにより、内容の理解と記憶効率が上がる。
 
常に緊張感を持って集中して講義を聴く
 おしゃべりは論外であるが、常に集中して、講義の内容をその場で、理解してしまう能力を身につける。ノートを取るのと聞くことを同時に行うのは慣れないと大変ですが、慣れると何とかなります。このためにも予習と復習は大切です。
 
  大学を卒業すると「学士」の資格が得られる。当然、企業に就職した場合は、「学士」としての能力を要求されるし、給料も高卒とは異なる。「学士」に見合う能力を身に付けるためには、講義の内容を理解することは当たり前のことです。 大卒の力がないと、高卒と同じ仕事をさせられ、辞めていくのを待つと言うことをする企業の話を卒業生から聞いたことがあります。
 
 4年間と言う長い期間であるので緊張感を維持するのは大変で、わかりにくい部分があるが、自動車学校に通って免許を取得するのと同じように考えると分かりやすいと思います。日本の場合は、外国の大学と比較すると単位認定が甘く、問題になっています。外国では、4年で卒業できる学生の割合、米国50%、ドイツ70%、イタリヤ60%だそうです。米国では大学によっては、勉強しない学生に対して留年ではなく、退学だそうです。日本の現状では、自分で自分に対して厳しくするしかありません。
 
参考書で調べる
 講義、実験、実習等で分からないことがあったら、図書館で参考書を読むか、書店で参考書を購入して調べる習慣を付ける。本を読み、書籍に書いてあることを理解する能力と書籍で解決すべき事項を調べる習慣は大切です。最近は多くの書籍が販売されていますから、この能力が身に付けばほとんどのことは、未知の分野であってもある程度は理解できるはずです。最近は、ネットで検索できるので、かなり楽になりましたが、いい加減な情報もありますので、最小限、2カ所以上の情報源から入手し比較して同じならば採用する程度の注意は必要です。
 

(4)実験、実習は一番大事で、講義は受け身ですが、積極的に参加できる科目です
実験では、将来、役に立つ多くのことが学べます。
 実験は、講義で勉強した原理、法則、現象等を実際に目の前で観察し、理解するのが目的の一つです。実験では、受け身の講義と違い、自分で考え、作業し、データを取り、結果をまとめ、考察します。ここでは、計画性、実験方法、計測技術、現象の表し方(グラフや結果の整理、数値の扱い方)の他、皆さんが苦手な文章をまとめる力を養うことができます。
 
 ここで手を抜かなければ、就職試験での小論文、企業に就職してから、仕事を行うときの計画の立案、自分の仕事を文章にして上司に報告するときの報告書などに大いに役立つはずです。同時に、Excel等の表計算も役に立ちます。
実習では
 実習前にテキストは必ず目を通す。いままで体験していないことを行うわけですから、説明を聞かなければできないことが多くあります。また、高校時代経験したとしても、高校で目指すものと大学で目指す最終目標は全く異なります。教員に質問するときは、テキストを十分理解し、自分で考えた上で聞かないと、教員が応えてくれたことを理解できない場合が多くあります。今まで、大学の工場での機械工作実習、製図、情報関係の実習など担当してきましたが、多くのスキルが身に付き、文系と異なるところです。
 
情報関係の実習
 1年生の情報関係の実習や講義を担当していますと、高校によってかなりの差があると感じています。ワープロ、表計算、プレゼン等のアプリケーションを使いこなすのは常識となりつつあると思います。最終的には、人に見せるために原稿を作成することが多いので、ただ自分の好みで作るのではなく、工夫して、美しく、わかりやすく、説得力がある原稿作りを目指してほしいと思っています。将来仕事をする上で必ず役立つと思っています。プレゼンテーション原稿の作り方はこちらをご覧下さい。また、プレゼンはデザインが重要ですから、自分の美的な、芸術的な趣味も生かせます。
 
  プログラミングに関しては、科学技術計算のFORTRAN, 種々のBASIC、教育用レゴ マインドストームRCXのROBOLABなど必要に応じて扱ってきましたが、表計算ソフトが出現する以前は実験データの整理はBASICでした。プログラミングの考え方はどの言語にも共通ですから、今考えると、学生を教育するという点では見栄えの良い例題を作成できるVisual Basicが最高かと思います。将来、プログラマーを目指す学科では不十分かと思いますが。Visual Basicと文法が同じ、Excelのマクロ処理のVBAぐらいは最低限出来るようにしたいものです。パソコンの技術が周りの学生よりも一段と優れていれば、将来、役立つことは当然です。パソコンの技術の向上は自覚しやすいので、励みにもなるかと思います。
  
(5).卒業研究
 4年になって実施される科目で、一番重要で、将来、役に立つ科目です。工学部の場合は大きく分けると、卒業研究の内容は実験、計算、調査などの分野に分けられるので、研究室配属の場合は研究室のテーマと共にこれらの具体的内容も調べて研究室を選ぶ必要があります。
 
 研究室の選定ですが、各研究室のテーマについては、ガイダンスなどで研究室配属以前に各先生から説明があるのが普通です。ホームページなどでも研究内容が記載されています。テーマは研究室の研究方針に沿ったものが教員から提示されることになり、その中から選択するのが一般的です。理系の場合は、実験費や装置など必要となりますので、文系のように勝手にテーマは選べません。今までの講義での印象で、研究室担当の先生が自分との相性が合うかどうかチェックすることは大切です。3年次に研究室を訪問して、大学院生や4年生に様子を聞くのも一つの方法です。
 
 研究内容が将来の仕事に直接結びつくことが理想的ですが、4年生の1年間では余りレベルの高い研究まで到達しないのが普通です。レベルの高い研究を望む場合は大学院に進学する必要があります。卒業研究では、3年間学んだ知識を駆使して、研究計画の立案、研究内容がその分野ではどのような状況にあるか、関連する参考文献の調査、実験の場合は実験技術の修得、結果のまとめと考察、論文のプレゼンテーションなど行います。将来、仕事を行うときの計画の立案、自分の仕事を文章にして上司に報告するときの報告書作成などに将来役立ちます。
 
 研究室は、5〜6名程度になりますので少人数教育ですから、教える側からすると講義より教育効果は上がります。卒業研究の内容ばかりでなく、先生を人生の先輩として付き合うことも大事です。そのためには、研究室に1時間でも多く顔を出し先生と接することが大事です。
 
(6).試験勉強・対策
 
 教員は学生が講義を聴いて内容を理解した場合に単位を認定します。その方法としては、定期試験、中間試験、レポートで判断します。定期試験の場合、60点以上で合格です。教員によっては、中間試験、レポートの点数を加味する場合もあります。
 理系の場合は、計算問題は必ず入ってくるので、公式や物理量の関係式をあらかじめ理解しておく必要があります。受験勉強は暗記をする場合が多いが、大学の試験では理解しているかどうかです。過去問が手に入っても、それをまる暗記するのではなく、理解して応用問題が出題されても対応できる必要があります。私は、教科書を持ち込みを許可する場合が多く、暗記するよりも、理解することと問題を解くためには、教科書のどこを調べたらよいかを解っていて、個々の法則を理解していればよいと思っています。将来、仕事をする上でも「何を調べたら課題を克服できるか」の糸口を掴むことは必要と考えています。その代わりに問題を少し難しくします。4年間は同じ問題は出しませんので過去問は使いにくくなります。
 高校時代の試験と異なるのは、説明問題があります。論理的に述べることは必要です。説明するときに、その事項を説明するのに必要な幾つかのキーワードがあります。勉強する時にキーワードを意識することが必要です。採点するときも、キーワードが最低限書かれているかを見ます。
 講義を受けて、講義を緊張して聞き、板書をノートにとり、試験前に再度確認すれば難しいことはないと思います。理系の場合は、講義以外の内容から出題されることは余りありません。
(7).講義以外の時間には(試験勉強、予習・復習も含む)
導かれた式が本当にそうなっているかを確認する。
 工学の教科書では、実際に起こっている現象を数式化して、法則化して表現する。このとき、 物理や化学等で勉強した自然科学の原理を基に、数学の知識で数式を組み立てて法則化します。高校時代に勉強した原理を再確認すると共に、導かれる過程の式が正しいか計算して確認してみる。こうすることにより、物理現象の法則化の方法や、真理を求める方法等が学習できる。
 
基礎から考える習慣と基礎から考えられる能力を養う。
  前述のように、教科書に書かれている数式や考え方を常にフォローすることにより、論理的思考力が養われる。最近、考えることを面倒に思う学生が多いと感じます。高卒と大卒が異なるのは、論理的に考えることができるところです。この能力を身につけなければ、高卒と同様な単純労働を強いられることになります。

*先日テレビで「方程式なんか卒業してから使ったことある?あんなの勉強してもムタだよネ」と言っていました。 大学に進学せず就職するのであればそうかも知れませんが、数学は「考える力や論理的な思考力を養うための教科」と思っています。
 
文章を読み解釈できる力を養う。
 教科書やテキストに書かれている語句や専門用語を理解するのは必要なことです。学問に表れる語句や専門用語には定義があります。これを正確に把握し、これらを組み立てて書かれている事の意味を解釈する必要があります。これは、「基礎から考える習慣」と組み合わせて、教科書をしつこく読んで練習するしかありません。「基礎から考えられる能力」と「文章を読み解釈できる力」があれば、専門が変わっても対応できます。すべての分野に応用できます。
 大学院に進学すると、自分のテーマに関する、現状と研究方法など調査するため、多量の日本語、英語の論文を読むことになります。英語は中学生程度の構文ですが、専門用語とその意味を理解するのが大変です。日本語の論文を読んで理解してゆくと英語の論文の意味も分かるようになります。最初は大変ですが、専門用語とテーマの課題や解決方法などが理解できるようになります。
 
大学までの勉強は学習です。
 大学までの勉強は、先輩達が研究の結果を体系づけて整理したもの、学問を学習することです。別に、新しい発見を要求されるようなものではありません。教科書やテキストに書かれていることを時間をかけて、理解できるまで繰り返して勉強するだけです。 人によって、小学校、中学校、高校時代に、勉学にどれだけ時間をかけたかどうかで現在の状態が異なると思います。 例えば、スポーツの場合、時間を費やして練習しなければうまくなりません。勉学も同じです。時間をかけて、トレーニングし、努力すれば誰でもあるレベルまで上達します。オリンピックの選手やイチローなどのレベルでは才能が影響していると思いますが。通常、「頭がよい」とか「頭が悪い」とか、関係ありません。「自分は頭が悪い」と言う学生がいますが、今まで、時間をかけていない、トレーニングあるいは練習不足なだけです。ノーベル賞受賞者と比較して「自分は頭が悪い」と言うのなら理解できますが。
 
 今まで、勉強に時間を掛けなかった人は、気がついた時点で、より多くの時間をこれからかける必要があります。こうすることにより、確実に努力の結果が達成されます。そして大学に入学した目標が達成されると思います。基礎力が不足していると気付いた学生には、NHK教育テレビの高校講座を見て学習することを勧めています。最近は、過去に放送された講義も動画で見ることが出来ます。有名な講師の講義とプレゼンは理解しやすいので短時間で復習できると思っています。  http://www.nhk.or.jp/kokokoza/
 最近は、YouTubeの映像がネットで掲載されています。例えば、「微積 YouTube」のように検索すると、結構画像の講義が出てきます。繰り返し再生して勉強できますので理解しやすいと思います。
 
 今までの大学教員の経験から、勉強不足に気がつき、4年次に卒業研究で朝から夜遅くまで頑張り、国立大学並みの実力を付けて卒業し、起業したり、一流企業で活躍している卒業生を多く見ています。偏差値で大学の価値を判断する人がいますが、受験に対する勉強のレベルを受験業者が便宜的に使っているだけで、人間の能力を評価する尺度ではありません。ネットの相談室で、「偏差値が高い」=「レベルの高い大学」と勘違いしている学生が多いように感じます。研究者の立場、教育者の立場から大学のレベルを判断しますと、偏差値とは関係なくなります。最近は、教育と研究に特徴を出している私立大が多くあります。偏差値が高い大学に入るまでの受験勉強の努力は認めますが、他大学の学生を見て、受験勉強に力を使い果たした学生も居ることも事実です。本学の学生を見ると、まだまだ多くの可能性を残している人が多いと感じています。
 
 これに比べ、大学院での研究成果、その後の仕事の成果、研究成果等は、必ず努力は必要ですが、報われるかどうかは保証されません。良い成果は大学で学んだ基礎力や良い先輩の指導力、人間関係などその後の経験や考える能力などと、幸運などにも左右されると感じます。企業に就職して、新しい機械など開発するのも大学院での研究と同様です。学問において、どうしたら『オリンピックの選手やイチローなどのレベル』に達することができるかかどうかは答えがありません。
 
 大学での勉強は、将来、新しいことを研究したり、開発したりするために基本的な知識について理解をする一方、将来、未知のことを解決できるための勉強方法を学ぶことではないかと思われます。
 最後の写真の製品は、50才以上になってから企業と産学共同研究で開発したもので、特許申請も国内外40件以上、水虫治療薬は米国で製品化しました。機械系の材料強度が専門ですが、考える能力や文章を読み解釈する力があれば、全く苦手で、異なる分野のバイオや化学の学問でも勉強すれば理解できるようになります。貝殻の有する多機能性が幸運でした。
 
教員と仲良くなろう
 大学の教員は、大学院を出た研究者です。また、人生の先輩でもあります。研究室を訪ねて、講義で分からなかったところを質問したり、議論したりして、これをきっかけに、教員と仲良くなることも必要です。何かと相談できる相手がいるのは親しい友人を見つけるのと同じくらい重要です。学生の方から積極的に研究室を訪問しましょう。普段の講義で、どのような先生か観察する必要があります。丁寧に教えてくれる先生かどうか、また、相性の問題もありますので。
 
*教員時代、私の研究室では、夏休みのはじめに研究室全員で、2泊3日ぐらいの三陸海岸でのキャンプを毎年行っていました。釣りや海水浴をしたり、学生さんと時間を共有し、話し、親しくなることで教育効果が上がりました。他の研究室の学生も研究室や自宅に遊びに来たり、キャンプに参加したこともありました。当時は、「スカイラインGT」に乗っていて、学生さんとドライブや釣りに良く出かけました。学生時代からやってきた趣味、アウトドアー、釣り、クラッシックギター、オーディオなど学生との話題も増え、研究室に来てから、釣り、アウトドア、ギターを始めた学生も結構いました。
 
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