材料の強度と破壊トップページ>第4章 破壊 クリープ

4.5 クリープ  creep
 
 0.5Tm(Tm:融点)以上の温度で使用される機器の設計の場合においては、時間に依存する材料の変形および破断特性は考慮すべき基本的事項である。例えば、ガスタービン、ジェットエンジンのタービン動翼、高圧蒸気タービンおよび、ボイラーの場合等である。
(1) 一般的特徴
 
一定の大きさの荷重を長時間負荷したときに,試験片が伸びを生じ,やがて破壊する

図4.46一定荷重の負荷
一定荷重W,試験片の伸びを長時間計測
時間ー伸び曲線は図4.47のようになる。
  


図4.47 伸びー時間特性
 
1次クリープ
 一定荷重が負荷された場合、瞬間的に弾性伸びが生ずる。その後、急激に伸びた後、伸び増加率が低下する区間である。
 
2次クリープ
 定常段階で、伸び速度は最も小さく、かつ時間に依存しない。

          dε/dt = const.        クリープ速度

この値は破断寿命と関係がある。粒界すべりが関係。
 
3次クリープ
 クリープ速度が増加し、破断に至る。内部にボイドが発生、くびれが生じ、断面積の減少が生ずることにより、伸びが急激な変化を示す。
 
温度が高いほど、負荷荷重が大きいほど破断までの時間は短くなる
 
図4.48 ひずみー時間特性 図4.49 クリープの温度依存性、ステンレス鋼
 
(2) クリープ破壊の微視的様相
 高温度におけるクリープ破壊は小さな空孔が引張応力に垂直な粒界に沿って多数箇所にに発生し、これが成長して粒界で破壊する。粒界のすべりによる空孔の発生モデルが図4.26に示すように提案されている。
 
(s) 粒界のすべりによる空孔の発生
(b) 2方向の粒界のすべりによる空孔の発生
(c) 2方向の粒界のすべりによる空孔の発生
 
図4.50  クリープ破壊、粒界破壊の機構
   

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