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2.金属の変態と合金の構造 |
2.1 同素変態と磁気変態 2.1.1 同素変態(Allotropic Transformation) ◆変態(Transformation) 1つの物質が原子配列を変化させて,性質のことなるものに変化 |
Ex. ・氷(固体) → 水(液体) ・体心立方構造のFe→面心立方構造のFe(高温) 固体から別の固体に変化する |
◆変態点 変態が生ずる温度T(Temperature)は,材料の基本的性質を知る上で重要 |
◆同素変態 同一元素が原子の配列や結合の仕方が異なる単体に変化する ・酸素O2と オゾンO3 ・体心立方構造のFeと面心立方構造のFe |
◆変態が生ずる温度を求める実験 |
・物体を加熱,冷却させた時の性質の変化を調べる.原子配列の変化が何らかの形で変化として表れる ・加熱冷却しながら,X線,電子顕微鏡で原子配列を調べる |
■ 純鉄の変態が生ずる温度を求める実験 |
◆実験方法 ---- *歴史的に有名な実験方法です ・電気炉で純鉄を加熱,冷却し,試験片の長さの変化と温度を熱電対で連続的に計測する。 ・温度の計測 ---- 熱電対 温度センサー,温度に比例する電圧発生 ・長さの計測 ---- 差動トランス 変位センサー 伸び量に比例する電圧 ・温度を横軸,長さの変化を縦軸に,XY記録計に入力 ・純鉄の試験片 ---- 直径5mm,長さ50mmの丸棒 |
表1 各種熱電対と常用温度 白金−ロジュウム(白金87%,ロジュウム13%) クロメル(Ni90%,Cr10%),アルメル(Ni94%,Al1%,Mn2%) コンスタンタン(Cu55%,Ni45%)) 図1 変態点測定実験装置 |
図2 加熱冷却による試験片長さの変化、純鉄FeのA3変態 |
[純鉄Feの場合の結晶構造の変化] |
室温 体心立方構造 BCC 1unit 9個の原子 収縮 ↓↑ 膨張 910℃ 高温 面心立方構造 FCC 1unit 14個の原子 |
●単位胞の大きさはBCCもFCCもほぼ同じ, ●FCCは1unit当たり, BCCより5個の原子が余計に必要なため、温度上昇の変態では収縮する ●BCC14unit→ FCC9unitができる ●BCC14unit×9=126 個の原子→ FCC9unit×14=126個の原子 |
図3 加熱時,試験片は変態すると収縮する。冷却時,試験片は膨張する |
◆ A3変態 ●Feの変態である ●加熱冷却の際,結晶構造が,910℃で変化する現象 ●体心立方構造 BCC → 面心立方構造 FCC |
◆ 履歴現象 hysteresis ヒステリシス 原子の並び方が変わるため,加熱と冷却では変化の起こる温度に若干のずれが生ずる。図2 |
2.1.2 磁気変態 …… A2変態,キュリー点 ,Fe 770℃ ・強磁性:磁石に吸引される,常磁性:磁石に吸引されない。 ・770℃で磁石に吸引されなくなる ・結晶構造の変化は生じない |
図4 磁気の強さと温度の関係 |
2.2固溶体の構造 ・合金・・・・・・・・・・・・2つ以上の金属原子からなる金属 ・固溶体 Solid Solution 1つの固体の中に他の固体が完全に解け合って,全体一様な固体ができる. 原子的に完全に溶け合っている ・置換型 2つの原子の大きさがほぼ等しいとき ・侵入型 2つの原子の大きさが異なる場合 |
(a). 置換型固溶体の模式図 (b). 侵入型固溶体の模式図 図5 |
2.3 金属間化合物 ・金属原子同士で化合物を作る。Na15Pb4,Ni5Cd21 ・電子化合物 |
2.4 金属の固体拡散 固体金属中における他の元素の移動拡散は学問的にも工業的にも重要 鋼材の熱処理,結晶の成長,C元素の移動 (a).金属表面の移動,拡散 (b).結晶粒界の移動,拡散 (c).結晶格子内の移動,拡散 拡散係数D,化学反応におけるアレニュウスの式 D=Ae-Q/RT Q:活性化エネルギー, R:ガス定数,T:絶対温度,A:定数 温度が高いほど拡散係数Dは大きい |
図6 C元素の移動 |
*金属材料学の講義に補足説明として使用したプリントの資料とOHPのプレゼン資料からです。使用した教科書、矢島、市川、古沢、「若い技術者のための機械・金属材料」、丸善. 金属材料の基本を学ぶのにデータも豊富で最適な教科書です。 |
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