金属材料学分野の解説トップページへ>硬さ試験
硬さ試験(hardness test) |
|||
硬い,軟かいということは実用上大切な性質であるが,物理的に説明するのには複雑で,他の物理量のように正確にこれを定義することはできない。しかし硬さを測定することによって,引張強さなどの機械的性質など、そのほか多くの性質を推定することができ,しかも手軽であるので最も広く行なわれる材料試験の方法である。硬さの程度を表すのは、金属材料ばかりでなく、食品やその他のものについても重要な値です。 |
|||
(1). | ブリネル硬さ(Brinell hardness) 試験片の表面を圧子(鋼球)で押えてくぼみを作り,押えた力〔kgf〕をそのくぼみの表面積〔mm2〕で割った値をもって硬さとする方法である。庄子は普通は直径10mmの鋼球で,荷重は3000kgfである。試片の大きさまたは材料の硬さによって鋼球の大きさや荷重を変えることがある.プリネル硬さ〔HB〕は次式によって求められる。 |
||
|
|||
ただし、Pは荷重〔kgf〕,Aは、くぼみの表面積〔mm2〕,Dは鋼球の直径〔mm〕,dは読取顕微鏡で読んだくぼみの直径〔mm〕である.PとdとからHBを求める表があるので実際には計算を省略することができる。 |
|||
(2). | ビッカース硬さ(Vickers hardness) この場合も荷重をくぼみの表面積で割った値をもって硬さとする.ただし、ビッカース硬さの圧子は対面角136°ダイヤモンド製の四角すいである。ビッカース硬さは次式によって求められる。 |
||
|
|||
ただし、Pは荷重〔kgf〕,Aはくぼみの表面積〔mm2〕,dは圧痕(正方形)の対角線の長さ〔mm〕である.この場合にもPとdからHvを求める表がある.ブリネル硬さとピッカース硬さとは原理的にはほぼ同じで,異なるのは圧子の形のみであるから硬さの値は両者でわりあい近い値を示す.圧子と荷重とを特に小さくしたものを微小硬さ試験機という。 ビッカース硬さの特徴は、材料の大小にかかわらず、すべての金属に使用することができて、硬さ試験法の中で最も汎用性が高い。これは荷重が変わっても圧痕の形状が相似であるため、異なる種類の材料に対しても、荷重を変更するだけで同一の尺度で硬さが求められ、相互の比較ができる。 |
|||
Hvの計算例 | |||
|
|||
(3). | ロックウェル硬さ(Rockwell hardness) 鋼球またはダイヤモンド製の円すい圧子で試料にくぼみをつけ,そのくぼみの深さをもとにして硬さをきめる方法である.最も広く用いられるのは<ロックウェルBスケールとCスケールである. Bスケールの場合には直径1/16in(1.588mm)の鋼球を用い,まず予備荷重10kgfをかけ,次いで90kgfを追加し,合計100kgfの試験荷重がかかるようにする.それから30secくらいの後、予備荷重(10kgf)の状態にもどす.このようにして前後2回の予備荷重の状態におけるくぼみの深さの差(ダイヤルゲージのh目盛)から次式によって硬さ〔HRB〕をきめる.ただし1目盛ほ0.002mmである. HRB=130−500h Cスケールの場合には圧子はダイヤモンド円すい(頂角120°,先端半径0.2mm)を用い,予備荷重は10kgf,試験荷重は150kgfである.硬さ〔HRC〕は次式によって求められる. HRC=100−500h ロックウェル硬さ試験機ではダイヤルゲージの読みから硬さを直読できるので測定が容易である. |
||
(4). | ショアー硬さ(Shore hardness) 前述の硬さ試験機はいずれも押込み硬さであるが,これは,はね上り高さをもとにして硬さをきめる方法である.銅棒の先端にダイヤモンドが取り付けてあり,この棒を試片上に落下させて,そのはね上り高さを読む.落下高さをho〔mm〕とし,はね上り高さをh〔mm〕としたとき硬さ〔Hs〕は次式で表わされる.この場合にも硬さはダイヤルで直読できるようになっている. |
||
|
|||
以上述べた各硬さ試験機は,使用目的などによって適当に使い分けられている.しかし種類が多く不便なので,相互の間の換算表が利用されている.ただし,換算表には鋼に対するもの,7:3黄銅,ニッケルおよび高ニッケル合金に対するものがあるから注意が必要。 JISでは、ブリネル硬さをHB,ピッカース硬さをHv,と書くが,それらをBHN,VHNと記すこともある. |
|||
金属材料学分野の解説トップページへ>硬さ試験